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其之陸拾漆

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綿矢 りさ/インストール


この作品に感想は要らない。
17歳の可愛い女子高生がクリトリスだのパンツが湿ったといった言葉を紡いだ事実、それだけで十分。
というわけにはいかないので感想を書いてみるが、まず圧倒的に量が不足している。本文は約120Pなのだが1ページが38文字×12行と普通の小説の2/3程度しかない。120P×2/3で実質80ページ。どう考えても少なすぎる。1時間足らずで読めたし。せめてあと中篇を2〜3本程度足して出版すべき。
また内容もページ数同様厚みがないので読後に何も残らない。爽快感も悲壮感もなし。短かった、それだけ。
ではなぜ版元は出版に踏み切ったか?確かに受賞した文藝賞の規定に受賞作の単行本化がある。それを差し引いてもルックスによってある程度の売り上げを見込めるといった編集サイドの思惑があったはずで、実際それは売り上げ50万部突破という事実が証明している。
結局この本の価値は
綿矢りさが書いた卑猥な文章の価値>1,000円
で説明がつく。
勿論“沈、黙”などといった独特の表現もある。感情の起伏の少ない主人公と少年は現代の世相と著者の属する世代を反映しているのだろう。よって逆説的にはかの名作世界の中心で、愛をさけぶDeep Love―アユの物語の様に普段本にあまり触れることのない人や世代には受け入れやすいともいえる。
お勧め度:☆☆☆(本来☆2つだが著者の可愛さで+1)


色々と偉そうなことを書いてみたが個人的にはありだ。
やっぱ綿矢りさ可愛いし。
つまり久々にこれだけ長いレビューをしたのもひとえに綿矢りさへの愛情の裏返しとも言える。