島田 荘司/最後の一球
最後の一球 島田 荘司 原書房 2006-11 売り上げランキング : 23527 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「何じゃこりゃ!?」
ちょっともう、これしか書きようがない。御手洗シリーズとして出す意義が掴めない。
物語の殆どが犯人の独白シーン。達観した視点から語られる犯人の半生は起伏にかけ、ただ淡々と述べられていく。
途中で盛り上がる場面は皆無で、御手洗が出るまで頑張ろうと読み続けたが、苦行は最後まで続いたのであった。
島田先生、目を覚ましてください!
オススメ度:★★☆☆☆
重松清/卒業
卒業 重松 清 新潮社 2004-02-20 売り上げランキング : 27333 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「卒業」と聞いて真っ先に思い出すのは卒業式なんだけど、今回は人生の色んな場面での卒業を題材にした4つの短編集。表題の「卒業」はかつて親友だった死んだ友との卒業。「まゆみのマーチ」と「あおげば尊し」は死に直面した親子としての関係の卒業。そして「追伸」は反抗期からの卒業ってことになるのかと。
歳を重ね時間を経ることで、あの時言えなかったことが言えるようになったり、受け入れることが出来るようになる。
学校だけじゃなく人生の色んな場面で出くわす「卒業」には時間の積み重ねも重要なファクターなんだと思わせてくれる作品。
オススメ度:★★★★☆
井上夢人/THE TEAM
the TEAM 井上 夢人 集英社 2006-01 売り上げランキング : 134721 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どんな悩みも解決する“超人気霊導師”能代あや子。その正体は彼女を含む4人で1つのチームだったのだ!ということで、インチキ霊能力者は霊能力ではなく、相談者の身辺調査をして悩みを解決する凄腕集団だったのですよ。
設定も面白いし、登場するキャラも飄々として掴み所がないところが返って面白さを誘う。ただ、もう一歩踏み込めてないというか、「もっと先があるだろ、奥深い『闇』の部分があるだろ?」と想像を廻らせる前に終わってしまうのが残念。
短編で1つの話が40P前後で終わるので、ちょっと本を読もうかなと思ってるひとにはいいんじゃないかと。
オススメ度:★★★☆☆
京極夏彦/邪魅の雫
邪魅の雫 京極 夏彦 講談社 2006-09-27 売り上げランキング : 3635 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
自分にとって京極堂シリーズを読むこと=榎木津の不遜で傲慢で痛快な行動を読むためが90%、残りが京極堂の憑物落としを見るためである。
今回の物語は、榎木津とのお見合い相手が次々縁談を断ることに端を発している。これは期待できるぞとページを捲り続ける。が、待てど暮らせど榎木津は登場せず、ようやく登場したのが450ページ過ぎ。
幾ら何でも待たせ過ぎだよ。
しかし、ラスト100ページで行われる京極堂の憑物落としはさすがの切れ味。これを見るために700ページも読んだからこそ味わえる爽快感もあるとはいえ、些か疲れました。
また、このシリーズは回を重ねるごとに根底に漂う『陰』の濃さが増しているように思える。それと本の厚さ(800P超)もあって、ページを捲る手が重く感じてしまった。
次回作は「鵺の碑」らしいけど、次はもっと榎木津が破天荒に突っ走れる感じでお願いします、京極先生。
オススメ度:★★★★☆