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島田 荘司/最後の一球

最後の一球最後の一球
島田 荘司

原書房 2006-11
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「何じゃこりゃ!?」
ちょっともう、これしか書きようがない。御手洗シリーズとして出す意義が掴めない。
物語の殆どが犯人の独白シーン。達観した視点から語られる犯人の半生は起伏にかけ、ただ淡々と述べられていく。
途中で盛り上がる場面は皆無で、御手洗が出るまで頑張ろうと読み続けたが、苦行は最後まで続いたのであった。
島田先生、目を覚ましてください!


オススメ度:★★☆☆☆

重松清/卒業

卒業卒業
重松 清

新潮社 2004-02-20
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「卒業」と聞いて真っ先に思い出すのは卒業式なんだけど、今回は人生の色んな場面での卒業を題材にした4つの短編集。表題の「卒業」はかつて親友だった死んだ友との卒業。「まゆみのマーチ」と「あおげば尊し」は死に直面した親子としての関係の卒業。そして「追伸」は反抗期からの卒業ってことになるのかと。
歳を重ね時間を経ることで、あの時言えなかったことが言えるようになったり、受け入れることが出来るようになる。
学校だけじゃなく人生の色んな場面で出くわす「卒業」には時間の積み重ねも重要なファクターなんだと思わせてくれる作品。


オススメ度:★★★★☆

井上夢人/THE TEAM

the TEAMthe TEAM
井上 夢人

集英社 2006-01
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どんな悩みも解決する“超人気霊導師”能代あや子。その正体は彼女を含む4人で1つのチームだったのだ!ということで、インチキ霊能力者は霊能力ではなく、相談者の身辺調査をして悩みを解決する凄腕集団だったのですよ。
設定も面白いし、登場するキャラも飄々として掴み所がないところが返って面白さを誘う。ただ、もう一歩踏み込めてないというか、「もっと先があるだろ、奥深い『闇』の部分があるだろ?」と想像を廻らせる前に終わってしまうのが残念。
短編で1つの話が40P前後で終わるので、ちょっと本を読もうかなと思ってるひとにはいいんじゃないかと。


オススメ度:★★★☆☆

超高齢化社会

渡辺恵進・天台座主が辞任へ…高齢など理由にYOMIURI ONLINE

天台宗(総本山・比叡山延暦寺大津市)は10日渡辺恵進(えしん)座主(ざす)、(96)が、高齢などを理由に2月1日付で座主を退くと発表した。
後任には、教学最高位「探題」の一人で、座主に次ぐ地位にある半田孝淳(こうじゅん)・曼殊院門主(89)が同日付で就く。座主は通例、終身とされており、死去によらない交代は33年ぶりという。

96歳が高齢を理由に辞めるのに、継ぐ人が89歳て。
天台宗では80代はまだまだひよっこってことか。
20代なんて精子みたいなものですな。

京極夏彦/邪魅の雫

邪魅の雫邪魅の雫
京極 夏彦

講談社 2006-09-27
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自分にとって京極堂シリーズを読むこと=榎木津の不遜で傲慢で痛快な行動を読むためが90%、残りが京極堂の憑物落としを見るためである。
今回の物語は、榎木津とのお見合い相手が次々縁談を断ることに端を発している。これは期待できるぞとページを捲り続ける。が、待てど暮らせど榎木津は登場せず、ようやく登場したのが450ページ過ぎ。
幾ら何でも待たせ過ぎだよ。
しかし、ラスト100ページで行われる京極堂の憑物落としはさすがの切れ味。これを見るために700ページも読んだからこそ味わえる爽快感もあるとはいえ、些か疲れました。
また、このシリーズは回を重ねるごとに根底に漂う『陰』の濃さが増しているように思える。それと本の厚さ(800P超)もあって、ページを捲る手が重く感じてしまった。
次回作は「鵺の碑」らしいけど、次はもっと榎木津が破天荒に突っ走れる感じでお願いします、京極先生。


オススメ度:★★★★☆